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本のこと

スモーク・オン・ザ・ウォーター

レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」が相変わらず進まない。妻から「最近その本よく読んでるね」と言われるくらいには読んでいるはずなのに、まだ110ページしか進んでいない。あと650ページも残ってるぞ。完読するのはいつになるんだ?レヴィ=ストロースはこの本を、47歳の時(ぼくと同じ年齢だ!)たった4ヵ月で書き上げたらしい。これまでに集めてきた断片を、時間軸を無視して一気におりゃーと書いたらしい。難しい人が、難しいことを、難しく書いて、しかも編集していないとなると、ぼくのような凡人が読むのに苦労するのは当然だ。

高校生の時、通信講座でギターを練習した。月に一度カセットテープと教科書が送られてきて、テープの音に合わせてギターを弾いた。その通信講座の方針は「あえて難しいフレーズを先に練習することで、それよりも易しいフレーズが楽に弾けるようになる」というものだった。たしか2回目か3回目くらいの講座で、いきなりスモーク・オン・ザ・ウォーターのあの有名なギターソロを練習させられた。繰り返し繰り返しやったけど弾けなかった。結局弾けないまま、次の教材が届いた。次に取り組むギターソロはスモーク・オン・ザ・ウォーターよりもゆっくりで単純だった。ぼくの指は自分でも意外なほど動き、割とあっさりマスターすることができた。その成功体験は、ぼくの人生に大きな影響を与えた。「悲しき熱帯」のような難解な本に向き合う時、いつもスモーク・オン・ザ・ウォーターを思い出す。

という記事を書いて公開したあと、スモーク・オン・ザ・ウォーターのソロってどんなだったっけ?と思って久しぶりに聴いたら、割と簡単そうなソロだった。あれ?そうだ、スモーク・オン・ザ・ウォーターじゃなかった、ハイウェイ・スターだ。間違えた!

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いい匂いのする方へ

来月の3冊です。
ちょっとフライングしました。

■悲しき熱帯2(レヴィ・ストロース)
■ガザに地下鉄が走る日(岡真理)
■いい匂いのする方へ(曽我部恵一)

「悲しき熱帯」はまだ1のほうを
半分も読めていない。
なぜか?難しいから!

必死に文字を追うけど全然入ってこない。
しかしこのまましがみついていれば
どこかへ連れて行ってくれるという
予感だけはビリビリと感じています。

「ガザに地下鉄が走る日」は
パレスチナ問題のことを
知りたいと思い手に取りました。
まさに今読んでいるけど
まだ上手く言葉にできません。
ぼくは本当に何も知らなかった。
この本については、また改めて。

「いい匂いのする方へ」は
サニーデイサービスの曽我部さんが
書き下ろしたエッセイ本。良い!

あえて推敲しないデモテープ状態のまま
出版したという曽我部さんの文章は
とても正直だ。大丈夫?と
心配になるぐらい正直だ。
だからとても信用できる。

信用できる文章というのはあります。
たとえば芸人さんが書いた本は面白いけど
彼らはつい文章で笑わせようとするし
読み手へのサービス精神が時に過剰になって
どこか嘘っぽい空気が漂う。

たったひとつでも
嘘っぽさがあると
全部がダメになる。
それは我々の仕事にも
言えることなんですけどね。

曽我部さんのこの素敵な本は
MARUZENの「芸術」の棚に挿さっていて
いわゆる歌手やタレントの本と
一緒に並べられていた。

分類として正しいんだけど正しくないような。
もしエッセイというコーナーがあるなら
そっちのほうが良いんじゃないかな。
じゃないとファンしか手に取らないですよね。
ぼくは検索機のおかげで見つけられました。

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つくることについて


吉増剛造さんの本「詩とは何か」は
吉増さんが詩とはこういうことですよと
やさしく教えてくれるわけではなく
ぼくたちの日常にふっと現れる
言葉にはできない詩的な何かを
懸命に探っていく本です。

だから詩に限らず
いろんな分野に話は及ぶし
あのジミヘンまでもが
詩的な対象として語られていて
とても面白い。

ネットレビューを覗いてみると
「結局、詩とは何かが書かれていない」
という低評価レビューを見つけて
ズコーっとなりました。

吉増さんはこの本の中で
芸術とは作品よりもむしろ
そこへ辿りつくまでの道程にこそある
というようなことを言っていて
ぼくは「はっ!」となったわけですが
音楽家のジム・オルークも
全く同じようなことを言っていて
作品なんて捨てていいとまで言っています。
言うだけで捨てていないと思いますけど。

先日読んだ松本大洋さんの
東京ヒゴロという漫画にも
作品を完成させて評価されることより
作るためにもがいた道程の中にこそ
喜びがあると書かれてありました。

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本を買う人の言い訳として

今月の3冊。

■タコの心身問題(ピーター・ゴドフリー・スミス )
■国境を超えるためのブックガイド50(小川忠)
■万延元年のフットボール(大江健三郎)
■夕べの雲(庄野潤三)
■うんこ文学(頭木弘樹・編)
■悲しき熱帯(レヴィ・ストロース)

あれ、MARUZENを彷徨っているうち、気が付くと、6冊もカゴの中に入っていた!

「タコの心身問題」によると、タコには心(意識)があるらしい。昔、夜釣りをしていると、ルアーにタコが引っかかってきたことがある。暗闇で見るそれは、まるで地球外生命体のようだった。不思議な生き物だ。

庄野潤三作品は「プールサイド小景」「ザボンの花」に続き3冊目。ぼくの好きな、何も起きない日常文学。寝る前にちょこっと読んで、ほっこりしてから寝るのだ。

「うんこ文学」は、うんこを漏らしてしまった悲しみを綴った文学作品のオムニバス。先日うっかりこれを持ったまま定食屋へと入ってしまい、しまった!と思って慌てて隠した。読む場所を選ぶ危険な本だ。でも面白い。

ぼくがブックガイドとして信頼している「本は読めないものだから心配するな」の中で、著者の菅啓次郎さんは、本に「冊」という単位はないと言っている。本は物質的に完結しているフリをするけど騙されるな、すべての本はつながっている、というわけ。

あっちを読んだり、こっちを読んだり、本から本へ、その日の気分で、流れるように読んでいく。そのためには、未読の本を積み上げておく必要があるのだ。(本を買う人の言い訳として)

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すべての「つくる人」へ

東京ヒゴロ3巻が届きました。発売日に届きました。Amazonの物流システムに感謝です!(結局Amazon様には逆らえませんなあ)そして結論から言わせていただくと、東京ヒゴロ3巻は最高でした。一話目から震えました。一巻、二巻、ずっと良かったけど、この三巻で、これまで丁寧に紡いできた物語がスパークして(と言っても表現は地味でリアルですばらしい)たましいがブルブルします。こんな漫画が1705円で読めていいんですか?もはや漫画というより、上質な映画を観終えた気分です。とても映像的です。いや、ぼくは漫画を知らないから、塩澤さんに言わせれば、本物の漫画は映画に比肩しうる、または超えるものなのかもしれません。ね、塩澤さん!

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3巻がない

ドラえもんの3巻が売っていない。
1巻から順番に買っていって
いま6巻まで揃っているけど
3巻は歯抜けのままです。

よし、今日はドラえもんを
買ってあげようと思って
書店へ行くとなぜか決まって
3巻だけがない。

「禁書になってるんじゃない?」と
冗談めかして妻は言うけど、まさかね。
3巻のジャイアンだけ狂暴が過ぎて
今の時代的にアウトになったとか?

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ヒマラヤを登ったことがあるかないか

石川直樹さんは写真家だけど、冒険家と呼びたくなるような人だ。かなり壮絶な体験をしているのに、著書の「地上に星座をつくる」では、それらの出来事をドラマチックに表現せず淡々と書いていて、それが逆に凄みを感じさせるようなところがあります。

ヒマラヤ登山をライフワークにしながら、知床にも頻繁に通っていて、知床ファンのぼくはそれがうれしい。もちろん、ぼくのような一般観光者とはレベルの違う体験をしています(羅臼岳でヒグマのそばで一夜を過ごしたり)。いつか冬の知床にも行ってみたいな。

ヒマラヤ山脈のひとつ、マナスルに登る映像を観ました。

https://www.youtube.com/watch?v=SHT4DZka9cU

なんも言えねえ(by 北島康介)。こんな体験をしてしまうと、自分の中身がすっかり変わりそうです。ヒマラヤを登ったことがある人は、登ったことがない人とは、もはや友達になれないんじゃないか。そして何日間もかけて山を登る間、トイレはどうしてるんだろう?

そういえばあのイモトアヤコさんも、マナスルに登ってるんですよね。すごい人ですね。そして一緒に登ったディレクターの方と結婚したというのもうなずけます。

映像を見たぼくはいてもたってもいられなくなり、ヒマラヤ行きのチケットは買わずに、石川さんの写真集「Manaslu」を買いました。とても良いです。命をかけて登った先で、やり直しの効かないフィルムカメラで撮る。覚悟がすごい。

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クリックした先に広がる世界

なんだこのサイトは?
本屋?読書好きの本紹介?
だれが何のために?よくわからない。
久しぶりにインターネットで興奮しました。

https://biblioapartment.com/

すごいものを見つけてしまった。
教えたくないけど、教えます。
すごいぜ。

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今月の3冊

毎月かならず3冊本を買う。
( そして可能な限り読む )
ぼくが設定した今年の目標です。
今のところなんとか継続できています。

読みたい本がある時はいいけど
無い時は非常にこまります。
何でもとにかく買ってしまえば
目標達成にはなるんだけど
読みたくない本は買いたくないし
できれば「今」本当に読みたいものがいい。

となると1ヵ月に3冊って
意外と簡単ではないです。
今月はこの3冊にしました。

■庭とエスキース(奥山淳志)
■悲しみの秘儀(若松英輔)
■はじめて考えるときのように(野矢茂樹)

なかなか良いチョイスじゃないかと
密かに手ごたえを感じています。
庭とエスキースはずっと読みたくて
でもこの値段でハズレだったら嫌だな
と考えてぐずぐずしていましたが
今月ようやく買いました。
みすず書房の本って高いんですよね。

ちなみにみすず書房のウェブサイト
とても良く出来ていて、出版社の
ウェブサイトの最高峰だと思います。
これをつくる労力を想像しながら
いったい制作費はいくらなんだろう?と
下世話なことを考えてしまいます。

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わざわざ機内で読んだと言う人

「夜間飛行」に感動したぼくは続いて「人間の土地」を読んでいます。じっくり、ゆっくり、味わいながら、北海道に向かって飛んでいる時も読みました。雲の上でサン=テグジュペリを読む、控えめに言ってシャレオツです。

(ふかわりょうが、あの映画みた?と聞かれて「機内で見た」とわざわざ言うやつが嫌いだ、という話を以前していたっけ)

飛行機乗りをしながら執筆し、飛行機に乗ったまま死ぬという生き様は詩的で、作品をあまり残していないところも良い。「星の王子さま」のイメージが強いから、あの作品が肌に合わない人(ぼくがそうです)が、夜間飛行をスルーしてしまっている(ぼくがそうでした)のが、もったいないな、と思います。

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