小さなデザイン事務所のまじめなホームページ制作

デザイン&アートのこと

ヘタの美学




美術手帖の五木田智央特集がおもしろかった。
ぼくは作品を見るのも好きだけど
作り手の制作環境や考え方
趣味趣向を知ることも好きなので
この手の特集ものが大好物なのです。

ずっとヘタになるために
努力しているという五木田さん。
ヘタウマの元祖・湯村さんの
影響を多大に受けていて
有名なモノクロシリーズを辞めたのは
上手くなりすぎたからだそうです。

インタビュー記事でなるほどと思ったのが
「ヘタに描くことが重要ではなく
ヘタの面白さを感じ取れる『目』を
持っているかどうか」という話。

描く人、つくる人は
目の修練こそが最も重要で
それがいわゆるセンスというものになるのでしょう。
だからたくさん見ないといけないのだ。

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ゴッホ展で種まく人と2人きりになる

tanemakuhito


コロナ過ですけど、
ゴッホの絵がすぐ近くに来ているのに
見ないという選択はできません。

ゴッホ展、人が少ない雨の平日、
朝いちばんに行ってきました。

普通は入口から順番に絵を見ていきますよね。
そしてまんべんなく全ての絵を見ますよね。
でも今回のぼくは入場するやいなや、
他の絵には目もくれず、
奥のほうへと一直線に突き進みました。

「種蒔く人」をじっくりと
見たかったからです。

予想通り、絵は奥のほうにありました。
他の来場者はまだ入り口付近にいるので、
この瞬間、ぼくはあのゴッホの種蒔く人と、
まさに二人きりの状態になりました。
おおげさにいうと、
それはちょっと神秘的な体験でした。

やがて他の人がぞろぞろとやってきて、
神秘体験は3分くらいで終わりましたが、
そのあとも他の人の邪魔にならないように
遠くから種まく人をじっと見ていました。

小説「月と六ペンス」で、
ストルーヴという画家が、
美について語るセリフがあります。
種蒔く人を見ながら、
ぼくはそのセリフを思い出していました。

「いいかい、美という、およそ世にも貴いものがだよ、まるで砂浜の石ころみたいに、ほんの通りすがりの誰彼にでも無造作に拾えるように、ころころ転がっているとでも思うのかい? 美というものは、すばらしい、不思議なものなんだ。芸術家が、己の魂の苦しみを通して、世界の混沌の中から創り出すものなんだ」

月と六ペンス

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アートの楽しみ方を子供から学ぶ

ドイツの写真家 ヨヘン・レンペルトの
「FieldGuide」という、
小さな写真集があります。

すべてモノクロで、動物や虫、
植物などをユニークな視点で切り取った
写真が収められている素敵な写真集です。

夜、子供を寝かしつけるとき、
子供がえらんだ絵本を1冊読むのですが、
ある日この写真集を持ってきました。

ぼく「絵本じゃないけん面白くないよ」
子供「これがいい」

仕方がないので一緒に布団にもぐりこみ、
FieldGuideを開きました。

すると子供は先入観のまったくない心で、
生き物のカタチを面白がったり、
左右の写真で間違い探しをはじめたり、
これはあれに見える、
それはあれに見える、
この模様キレイやねー
といった具合に楽しんでいて、
ぼくはちょっと感動してしまいました。

ヨヘン・レンペルトさんもその光景を見たら
「そうそう、そういうことなんだよ」
って言うと思います。


ヨヘン・レンペルトの「FieldGuide」
ヨヘン・レンペルトの「FieldGuide」
ヨヘン・レンペルトの「FieldGuide」

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鴉とカー

ひさしぶりに本屋青旗へ行ってきました。
中山信一さんの絵本「うそ」が好きな妻は、
その原画展が青旗であると知って
興奮していました。
それでぼくも一緒に付いて行ったわけです。

原画はとても良かった。
こんなこと言うのは
よくないかもしれないけど、
絵本の100倍良かった。

原画は絵を切り貼りして重ねていたり、
汚しがそのまま残されていたり、
絵柄自体はシンプルなタッチだけど、
アナログならではの質感が
それに合わさってとても良い感じでした。
やっぱり原画はいい。

ついでに本を2冊買いました。
ひとつは佐々木俊さんの「CAR(カー)」。


佐々木俊さんのCAR(カー)


ぼくはデザイナーでは服部一成さんが好きですが、
佐々木さんは服部さんの影響を
すごく受けていると思います。
というか、最近のグラフィックデザイン界は、
服部さん風のヘタウマデザインが
流行ってるんですかね?
よく見るような気がします。

もう1冊は、深瀬昌久さんの「鴉」。


深瀬昌久さんの鴉


有名な写真集なので
ご存じの方も多いと思いますが、
ずっと見たくて、ついに手に入れました。

写真集ってだいたいどれもお高いけど、
これもやっぱりなかなかのお値段で
「どうしようかなあ」とウロウロしていると、
妻から「私がおるけん悩むふりしよっちゃろ」
と言われました。うう、鋭い・・・。

映画や絵画でよく、好きとか嫌いとか、
分かるとか分からないとか、そういうの関係なく、
とにかくそのイメージが
脳にベッタリくっついて
離れないことがたまにありますけど、
この写真集もまさにそれでした。

鴉を撮った写真はどれも不気味でカッコいいし、
突然差し込まれる鴉以外の写真がまた良くて、
写真家の村越としやさんも
「鴉じゃないものを撮った写真が好きだった」
と何かのインタビューで話していました。
この女学生のなびく黒髪も鴉なんですね。

そして、鴉と(カー)を
たまたま一緒に買った奇跡に
いま気がつきました。

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おうち美術館

図書館で借りた子供の絵本を
返却しにいく妻に付いていくと、
現代世界美術全集という
大きな画集がずらっと並んでいて、
その中からゴーギャンを借りて帰りました。

1970年に出版されたそれは
びっくりするほど印刷の質が良く、
サイズが40cmもあるので絵の迫力がすごいのです。
定価は1冊4,000円。
いまこのクオリティでつくったら、
1万円以上すると思います。

そんなことを考えながら
何気なくネットで検索すると、
なんとこの現代世界美術全集が、
10冊セット2,700円で
某オークションに出ているではありませんか。
目を疑いました。だって1冊あたり270円ですよ。
少年ジャンプじゃないんだから。

どうもこの全集、大きすぎるせいか、
それとも古いせいか理由はわかりませんが、
あまり人気がないみたいです。
ブックオフで1冊100円で
買った人もいるようです。
うーん、モノの価値って、わからんな。

もちろん10冊セット、落札しました。
状態も良く、モネ、ゴッホ、ゴーギャン、
ボナール、マティス、モディリアーニ、
巨匠たちの絵を、大きなサイズで
じっくり見られる幸せ。ぼくは最近、
ボナールの絵が好きになりました。

帯にはあの猪熊弦一郎さんが、
こんなコメントを寄せています。

「居ながらにして世界の名画を
自分のものにし得る家庭の美術館だ。
解説も最高でこんな美しい出版物に
親しめる現代の人々は幸せだ」


現代世界美術全集

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Ao-Hata Bookstore さん

デザイン書とか写真集を
専門に扱う書店が
福岡にもできたらいいのになあ、
と言っていたら、いつのまにか
本当に出来ていました。

Ao-Hata Bookstore さん。

先日やっと行ってきました。
場所も、佇まいも、良い感じで、
品ぞろえも期待どおりでした。

結局いろいろ迷って、
今回はナイジェル・ピークさんの
ドローイング集を買いました。

家から程よい近さに、
あんな良いお店ができるなんて
うれしい限りです。


ナイジェルピーク

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2020年に買って印象に残ったデザイン本

2020年に買って印象に残ったデザイン本


今年買ったデザイン本の中では、
この3冊が印象に残っています。

「ポール・コックス デザイン&アート」は、
ちょいちょい本棚から引っ張り出してきて眺めてます。
作品はもちろん、アトリエの写真を見るのも好きで、
無数のデザイン本を無造作に
積み上げているポールさんに憧れます。

アイデアの「服部一成100ページ」はずっと探していて、
ついにとある書店の入荷情報をキャッチして
素早くポチったら、お店の手違いで
別の号のアイデアが届き、
心の中で悲鳴をあげました。
そのあとちゃんと交換してもらえたけど。
内容はもちろん最高です。

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デザイン本を買う意味

デザイン本を買う意味

「制作のためのノート」より

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Diane Arbus in the beginning

Diane Arbus in the beginning

ひさしぶりに写真集を買いました。ダイアン・アーバスの「in the beginning」です。

丸善の洋書コーナーをのぞいたら何故か半額で売られていて、中の写真を見てみるとビビビっときたので購入しました。

ダイアン・アーバスといえば、あの双子の写真が表紙になっている写真集が有名でぼくも持っていますが、写真の強度がすごすぎて気軽に開けない雰囲気があります。

それにくらべて、初期の作品を集めたこのin the beginningには曖昧な部分が残されていて、ぼくはこっちのほうが好きでした。

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写真集のはなし

ロバート・フランクの名作「THE AMERICANS」の良さがわかるようになりました。見れば見るほど好きになる。

いまの一番の興味は、写真集を見ることです。好きな映画を見るように、好きな写真集を見ます。

静かに眺めるのも良いし、ヘッドホンで音楽を聴きながらページをめくると、うまくいけば自分だけの映画を観ているような、そんな感覚が味わえたりもします。あ、映画といえば、先日Netflixでジョーカー観ました。

だれかが「日本には写真集を買う習慣がない」と言っていました。みんなiPhoneでパシャパシャ撮ってインスタにあげて、写真大好きなはずなのに、買う習慣はないって不思議ですね。

写真集

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