入口のドアには、いつの時代のものか分からないポスターやチラシが、ベタベタと貼ってある。オシャレさから遠ければ遠いほど、そのレコード店への信頼度は増すのだ。
中へ入ると、古本とはまた違う、中古レコード特有の匂いが鼻を刺す。とにかく狭いうえに、ダンボールが無造作に積まれてあるから、他のお客さんとすれ違う時は命がけだ。この前なんてダンボールの置きすぎで、背中にリュックを背負ったままでは通ることすらできなかった。媚びていない。そしてそれに対して文句を言う野暮な客なんて、もちろんいない。
ダンボールの中には買い取ったレコードが無数に詰まっており、無口で無愛想な店主(いらっしゃいませなんて言わない)に値札を付けられるのを待っている。
この店最大の魅力は、ネット販売を一切やっていないところだ。せっせと店に足を運んだ者だけが、商品を見て、買うことができる。これが良いのだ。クリックひとつで何でも欲しいものが買えるなんてツマラナイ。
今日は何があるかな?と、ワクワクしながらドアを開け、レコードをぱたぱためくっていき、欲しかったジャケットが目に飛びこんできた時の高揚感こそが、買い物の醍醐味なんだから。