カラマーゾフの兄弟、上中下3巻、約2000ページもある、あのドストエフスキーの大作をついに読み終えました。
「世の中には二種類の人間がいる。カラマーゾフの兄弟を読破したことのある人と、読破したことのない人だ」と言ったのは村上春樹さんですが、ぼくは読破したことのある人の仲間入りをしたわけです。てってれー。
結論からいうと本当に面白くて、下巻の最後のほうを読んでいるとき、ああ、もうすぐ終わってしまう、という寂しさを感じながらも、ページをめくる手が止まらない。そんな感じでした。こんなに充実した読書体験は久しぶりです。
頭の中でカラマーゾフの世界が出来上がり、ロシアの風景や個性的な登場人物たちの顔が、映像として脳にしっかりと刻まれ、いまだその世界から抜け出せていません。
ぼくは長男のミーチャ(ドミートリィ)が好きでした。乱暴者でめちゃくちゃだけど、正直でウソをつかない誇り高い男。もっとミーチャのことを見続けたかったなあ。上中下じゃ足りん。
確かに難解な部分はありました。それを本当の意味で理解できたかどうかはわかりません。でもそこから何かを感じとることはできました。映画も小説も、そこが大事です。すぐにわかってしまうものなんて、すぐに役に立たなくなるんです。そういうもんです。
それにしても、次男のイワンが語るキリスト教や神についてのくだりは、人間が書いたとは思えない凄みがありました。ドストエフスキーさんも凄いけど、翻訳者の原卓也さんもすごい。
きっとまた読み返すとおもいます。そのたびに新しい発見があると思います。カラマーゾフの兄弟は、ぼくにとって特別な作品になりました。