原作が好きだからこそガッカリしたくなくて、今まで観なかった映画版「ルックバック」を恐る恐る見てみたら、すばらしかったな。なによりシーンをダラダラやらずにさっとやるテンポ感、あの原作のテンポ感をアニメーションで実現していて驚いた。2人がコンビニでジャンプを立ち読みして入選を知るシーン、喜ぶ姿をガラス越しの引きのカットだけでさっと終わらせるセンス。あと「無音」の使い方も良くて、ニュースを見た藤野が京本を心配して電話をかけるシーン、あそこで藤野の呼吸音だけが聞こえる数秒間は緊張感があり、その後にかかってくる着信音は本気で怖かった。漫画を描き続けた藤野と、漫画を辞めた藤野、同じ藤野なのに、前者は孤独で苦悩を抱え、後者は明るく楽しそうだった。それでもなぜ描くのか?その答えを言葉では明示せず、映像だけで締めくくったラストとその余韻にシビれました。